川野の農園訪問記 – バリ島の精製改善

2016.09.13
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こんにちは、LIGHT UP COFFEE代表の川野です。
この夏、インドネシア・バリ島のコーヒー農園を訪問してきました。昨年も行ったバリ島北部Desa Ulian(ウリアン村)にある農園です。

何をしに行ったかというと、どうやったら美味しくコーヒーを生産できるかという、生産の指導です。生産の中でも特に、コーヒーチェリーを収穫してから洗って乾燥させて生豆の状態にするまでの「精製」の部分をよりよくしようとフィードバックを繰り返しています。

今回はコーヒーがそもそもどのように生産されているか、そしてLIGHT UP COFFEEの取り組みをご紹介したいと思います。

 

コーヒーの収穫工程

まずコーヒーは1年間かけて育てられる木で、年に1回収穫期を迎えます。主な生産地は、コスタリカ、グアテマラなどの中米、コロンビア、ブラジルなどの南米、エチオピア、ケニアなどのアフリカ、そしてベトナム、インドネシアなどの東南アジアです。主に赤道付近の年中気温が一定している地域で育つ植物なんです。

ここバリ島では8−9月が収穫期です。僕は収穫期に農園を訪問してきました。昨年も訪れた農園で、質の高いコーヒーを作ることに非常に協力的な農家さんです。

 

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収穫期になると、このように枝に実がなり、徐々に熟して赤くなっていきます。この赤い実を採るのが収穫です。青い実が混ざってしまうと美味しくない渋い味が混ざってしまうので、熟した実だけを選び、人の手で1粒1粒採っていきます。

 

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収穫作業は思いのほか重労働です。コーヒーチェリーは予想以上に強く枝にくっついています。手もべたべたになります。バケツいっぱい約6kgのコーヒーチェリーを収穫するのに、僕1人でなんと3時間もかかりました。

 

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標高も1000mを超えているので少しだけ酸素も薄く、足場も悪いので、これだけ収穫するのでもものすごく大変な作業でした。

 

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この果実の種の部分を乾燥させればコーヒー生豆。

剥いてみるとすぐに種が出てきました。舐めると洋梨のような甘い味がしますが、食べられる果肉の部分はほとんどありません。

収穫したコーヒーチェリーは農園中心にある「精製所」へと運びます。

 

コーヒーを精製する

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以前は収穫後このまますぐに機械で皮を剥いでいたのですが、農家と話し合った上、今年から「ソーティング (Sorting)」という作業を加えることにしました。まず収穫したコーヒーチェリーを台に乗せ、未熟で青いものや過熟で熟れすぎなもの、虫に食われたり割れているものなどを手で取り除きます

 

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熟度を揃え、ネガティブな風味の豆を混入させないことが目的です。本当は収穫段階で熟度の完全に揃った綺麗なコーヒーチェリーだけを摘んでくればいいのですが、収穫期には大規模に一斉に収穫を進めるために、どうしても本来混ぜるべきでない未熟なコーヒーチェリーも混ざってしまうんです。

 

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写真左が取り除くべき未熟・過熟のコーヒーチェリー、右が素晴らしく熟したコーヒーチェリーです。緑色が残っているとあまり良くありません。

 

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糖度計で計ると、左の未熟なコーヒーチェリーは8−10度、右の熟したチェリーは15−18度。実際の数字にも大きな差がありました。

取り除いたよくないコーヒーチェリーは、低いグレードのコーヒーとして出荷をします。

 

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今までは水洗いしていなかったこの農家ですが、コーヒーチェリーは必ず水洗いするようにしました。この時ほとんどのチェリーが沈むのですが、水に浮いてきたチェリーは中身がスカスカということなので取り除くことができます。また、綺麗にチェリーを洗ってから皮を剥ぐことで、剥いだ皮も乾燥させて「カスカラティー」というお湯に煎じて飲む茶葉としてお金に変えることができるんです。こんな綺麗なチェリーなのに、皮を捨ててしまうのはもったいないですよね。

 

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水洗いのあとはいよいよ「パルピング(Pulping)」。チェリーの皮と果肉を剥いで、種の部分だけを取り出す作業です。パルパーと呼ばれる専用の機械を使います。もちろん使う前には機械も厳重に水洗いをしてから。

 

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出てきた中身の部分はまだベッタベタ。種の周りにべっとりと甘い成分がこびりついています。透明感のある味にするために、このベタベタや不純物を取り除いてから乾燥に移します。そのため、この後に「発酵(Fermentation)」と呼ばれる処理を進め、水洗いします。

 

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今まではこの農家では、一晩の間発酵槽で水に漬け込んでヌメリ気を落としていました。ただ、使う水や発酵槽が少し臭かったため、相談の上発酵槽を使うのをやめ、このようにビニールのバッグで水を使わずにそのまま一晩置いておくドライ発酵に切り替えることにしました。このおかげで雑味は減り、甘さが増し、香りは複雑で上品なものに劇的に変わりました。

 

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一晩このままつけておくと、泡が出てきていて、ヌメり気も溶け落ちていました。口に含んで甘かったら発酵に成功、酸っぱかったら発酵に失敗しているとの判断方法があるそうです。僕のは甘かったので成功です!

 

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水洗と乾燥

発酵した後はひたすら「水洗(Washing)」。ここでどれだけ不純物を洗い落とせるかで、コーヒーにした時の透明感やすっきり感が変わってきます。

 

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機械洗浄だけではまだ落としきることができていなかったので、新しく手での洗浄工程も加えました。

流水で3回揉むように洗います。この時水に浮いてくる豆は取り除いていきます。これはなかなかのハードで地道な作業で、効率的に行っているところでは大きな洗浄機を導入しているようでした。この農園はそんな設備を導入する余裕もないので、人の手作業に頼るほかありません。

 

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左が今回発酵方法と水洗方法を見直して作ってもらった新しい精製、右が従来の精製方法です。見た目からも白く綺麗で、粒も大きく揃っていて不純物が入っていないことがわかりますね。

 

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水洗の後はいよいよ「乾燥(Drying)」の作業です。この農園では昨年は低い一段の台だけを使っていて、時には地面で乾燥させたりしていたのをやめ、今回新たに3段の乾燥台を作ってもらいました。

 

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より効率良く通気良く乾燥を進め、湿気を含む時間を短くすることで、よりクリアな風味になっていきます。収穫してから乾燥するまで、工程がたくさんある分、突き詰めることのできる余地もたくさんありました。

最後はこの乾燥台で10-11%の水分量になるまで約2週間かけて乾燥させ、乾燥が終わったら機械で一気に「脱穀(Hulling)」をして生豆の状態で出荷します。

 

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今乾燥されているのは14.4%、もうすぐ乾燥の終わるロットでした。農家の方は触って色を見たり、爪での生豆への傷のつき方を見て水分量を的確に判断できるんです。熟練の技ですね。

 

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こちらが農園主のPak Wayanさんとその奥さん。先日赤ちゃんが生まれたと嬉しく報告してくれました。とても優しく素直で、プライドのある品質にまっすぐな農家さんです。

 

生産工程が味のすべて

1つ1つの丁寧な作業の積み重ねで、感動のある美味しいコーヒーができるのです。どこかで手を抜いてしまえば、やっぱり手を抜いた雑な味になってしまいます。味を決める、精製の1つ1つの工程を丁寧に突き詰めることで、素材としての風味が豊かなコーヒー豆となり、その後の焙煎・抽出の工程も意味があるものとなってきます。

インドネシアでは伝統的に「スマトラ式」といって、乾燥途中で脱穀して販売し、最後の輸出業者が乾燥を完成させたりしていました。力強い大地や草のようなインドネシアの風味は主に精製方法から来ていたんですね。

 

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私たちLIGHT UP COFFEEは、シングルオリジンで素材の味を楽しむ文化をもっと広めたいと思っていると同時に、質の高いコーヒーを作る農家ももっともっと増えてほしいと思っています。飲んであれこれ批評するだけではその先がなく、生産からコーヒーの文化を変えていかなくては次に続かないと思っています。

その中でも日本人として、同じアジアのコーヒーをもっともっと高いレベルに持っていきたいと思い、これからももっとたくさんの農家のコーヒーをより美味しいものにできればと思っています。

 

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このインドネシア・バリ島のコーヒーも生産がうまくいけばLIGHT UP COFFEEでも並べる予定です!サンプルの段階ではまるでコスタリカのコーヒーのようにクリアで、アップルティーのように華やかで上品なコーヒーでした。精製だけでこうも美味しくなるのかと、川野自身衝撃を受けたコーヒーなので、うまく生産されみなさんに楽しんでもらうことがとても楽しみです。

 

今LIGHT UP COFFEEに並んでいるコーヒーは世界中から選んだ、特に感動のある風味のコーヒーです。ぜひ飲み比べてもらってコーヒーの多様性や魅力を感じてもらえればと思っていますが、その裏にはこんな農家や精製所のたゆまぬ努力があることを感じて楽しんでもらえれば尚更です。

これからのLIGHT UP COFFEEの豆のラインナップにもお楽しみに!味の違いに迷ったらぜひ「テイスティングセット」で好みのコーヒーを見つけてみてください。

 

コーヒーの生産について興味がある方はぜひ川野までどうぞ!

メールアドレス:yuma_kawano@lightupcoffee.com