川野の農園訪問記 – ベトナムの精製

2016.11.27
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こんにちは、LIGHT UP COFFEEの川野です。

この秋、僕はベトナム・ダラットにあるコーヒー農園へ訪問してきました。目的は品質の確認精製の指導。今回は農園で見てきた様子を写真を交えてお伝えしたいと思います。

 

ベトナムで作るスペシャルティコーヒー!?

ベトナムはもしかするとあまり美味しいコーヒーのイメージがないかもしれません。それもそのはず、ベトナムのコーヒー生産は90%以上が「ロブスタ種」と言われる、低地でも育ちやすいワイルドな品種なんです。ロブスタは味もとってもワイルド。非常に力強くコーヒー感たっぷりのこのロブスタは、現地では練乳と混ぜられたり、たっぷりの砂糖と一緒に楽しまれていたりします。それがいわゆるベトナムコーヒーですね!

一方で、フルーティで繊細な風味がする質に優れた品種が「アラビカ種」。主にアフリカや中南米の高標高の地域で育てられているこのアラビカ種ですが、今回僕が訪れた農園は標高1,400-1,700mの高地。100%アラビカ種を生産する、ベトナムでも屈指のスペシャルティコーヒー農園です。

 

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▲ベトナムコーヒーはこんな感じ。たっぷりの甘い練乳とパンチのあるロブスタコーヒーを合わせて楽しむのが伝統的なようです。

 

コホー農園がつくるコーヒー

ダラットはベトナム中東部に位置する、農業や酪農が盛んな都市。ホーチミンから飛行機で約45分くらいの場所です。

僕が訪れた農園は、ベトナムの少数民族「コホー族」が先祖代々経営してきた、数十トンの生産量を持つ大きなコーヒー農園した。標高は1,400mから、高いところでは1,700mのところまで、家族で経営しています。

 

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▲こちらが農園主のRolanさん。農園のど真ん中にある小屋でいきなりエアロプレスでおもてなししてくれました。とにかく元気で、1日中収穫から焙煎までこなすめちゃめちゃパワフルな農園主です。

 

植わっているコーヒーはすべてアラビカ種。Catimorと呼ばれるハイブリッドの品種を非常に丁寧に育てていました。

1,700mまで行くと、そこはベトナムでもコーヒーを生産している最も標高の高い農園。昼夜の寒暖差に恵まれ、山からくる清水で酸味の綺麗な非常にクオリティの高いコーヒーを生産していました。

 

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▲山へと続く一本道。バイクに乗せてもらい頂上付近まで登っていきます。

 

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▲こちらは農園主Rolanの旦那さんJosh。精製の知識がものすごい優しいアメリカ人です。

 

 

標高による味の違い

一般的には、標高が高いほど気温が低く、その分成熟がゆっくりになります。ゆっくり成熟するほど、昼夜の寒暖差があるほど密度の高いコーヒー豆となり、風味が豊かになり特に酸味の質が高くなると聞きました。このコホー農園では、1,400mの畑ではもう熟し収穫が始まっていましたが、1,700mの畑ではまだ実は緑色。収穫はまだこれからでした。

 

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▲雨が降ると農園までの道はこんな状態に。流れる水はとっても綺麗でした。山の水で精製するコーヒーはとってもおいしそう。

 

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▲山の頂上にある精製施設。最高標高のこの周りにある畑で採れたコーヒーチェリーはここに集められ、水洗・乾燥が手作業でなされます。

 

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▲頂上付近にもたくさんコーヒーの木が植わっていました。気温は日中で15度くらい。夜はとっても冷え込むそうです。

 

丁寧に作るって本当に大変

今回はどうやったらアジアで美味しいコーヒーが作れるか、1つ1つの工程を突き詰め見直してきました。僕が特に重要だと感じたのは「収穫」「精製」です。

まず収穫期が始まると、赤く熟した実だけを目で見て手で摘んでいきます。何よりも熟度を揃えることが大事。毎朝畑を見て、熟れたものだけを選び、まだ緑のものは熟すまで枝に残しておきます。もしも、質なんか気にせずガサッと枝ごと取ってしまったらどれだけ楽か。プライドを持ってとにかく美味しいコーヒーを作ることは、私たち消費者に感動を与えるだけでなく、生産者本人たちにわたる対価の増加にもつながります。質に見合った正当な価格で買い取ることも、美味しいコーヒーを作るモチベーションにとっては非常に重要になってきます。

 

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▲こんな風に、1本の枝でも徐々に熟していくので、赤い実と緑の実が混在した状態になるんです。

 

この熟した実だけを集める作業が、僕は質を決める一番の決め手になるんじゃないかと感じます。緑の実が混ざるとピーナッツのような未熟な味になってしまいます。いかに効率良く、赤い実だけを集めるか。熟練したこの農園の人でも、集めたコーヒーチェリーには少し緑の実も混ざっていました。表が赤くても裏は緑だったということも良くありました。

 

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▲収穫後には未熟チェリーの仕分け作業。手摘みの精度が完璧ならこの作業も省くことができるはず。熟度を揃えるって大変なんです。

 

赤い実だけに揃えた後に行うのは「精製」作業。実を取り種を洗い乾燥させるまでの一連の工程のことです。

この精製は農園によって様々。そもそも水がない農園では水を使わず行うし、やり方を知らない農園では伝統的なやり方にただ従っていたりもします。今回はこのいろんなパターンの精製を試し、どこまで素材のいい部分を引き出せるかを試しました。

 

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▲これは実を機械で取った後水に漬け込んでいる様子。

 

アジアの農園で感じるのは、精製の情報の遅れ。中南米やアフリカで当たり前に行われている美味しくなるための精製が、ここアジアでは行われていません。インドネシアのスマトラ式のような、伝統的な古いやり方で精製をしている農家がとても多く感じました。今回はケニアで行われている、水に一晩漬け込むやり方や、イースト菌を加えて発酵をすすめたり、水を使わない発酵を試したり、どうやったら質の高い精製ができるか議論しながら試してきました。

ここで美味しかった方法はきっと他のアジアの農園でも使えるはず。今までアジアでは突き詰めていなかった「収穫」の精度とこの「精製」の改善があれば、きっと驚きのある高い質のコーヒーが作れるはずだと僕は信じています。

 

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▲これは実から取り出したコーヒーの種を漬け込むタンク。いろんなサンプルを試しました。

 

そして、今回は1つのサンプルでとっても美味しい風味を引き出すことができました!

今年の収穫はまだまだこれから。密度が高く熟すのに時間がかかるもの、つまり後半に収穫されるものに美味しいコーヒーが詰まっています。今年の収穫で美味しかったものは、LIGHT UP COFFEEの店頭でも扱おうと考えています。初のダイレクトトレード・アジアのコーヒーのお披露目になりそうです。もうしばらく楽しみにお待ちください!

 

コーヒーは素材が大切

コーヒーの味を決める一番のポイントは、淹れ方でも焙煎技術でもなく、なによりも素材の良し悪しです。素材あっての調理方法。もっともっと質にこだわり美味しくつくる農家が増えて欲しいと思います。いい素材にするための生産方法を多くの農家に知って実行してもらい、その分の対価がわたるようにし、飲む私たちも作ってくれる生産者たちももっとハッピーになるような、真のコーヒー豆の流通がもっと広まったらなと強く思っています。

 

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▲生産あってのコーヒー豆。私たちロースターはその素材をみなさんに適切に伝えるにすぎない役割なんです。

 

コーヒーの生産を学ぶセミナーも開催!

12/4(日)には「コーヒーの生産を知ろう。」を渋谷FabCafeにて開催します。写真をお見せながらもっと詳しく生産の1つ1つの作業をご紹介した後に、実際に川野がこの農園で試してきた4種類の水洗式のコーヒーを飲み比べ。味の違いも通して生産工程や精製工程の重要さを学ぶセミナーです。この記事では伝えきれないような細かいお話から、初心者向けのわかり易いお話まで。普段親しむコーヒーだからこそ、どう作られているのかをぜひ知ってもらいたいと思います!

ご興味のある方はこちらから!http://feeltheorigin.peatix.com

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