川野の農園訪問記 – 森と共に生きるラオスのロンラン村

2017.12.17
サムネイル

こんにちは。LIGHT UP COFFEEの川野です。

 

先日ラオスのコーヒー農園を訪問して、どうやったらもっと美味しいコーヒーが現地で作れるか、生産者と一緒に取り組んできました。

その時の様子を写真を交えてご紹介したいと思います。

 

 

森と共に生きるロンラン村

 

僕が訪れたのは、世界遺産にもなっているラオスの古都ルアンパバーン。周辺では農業が盛んで、市街地から車で1時間半ほど北上したところにあるロンラン村では、山岳少数民族のモン族が、米や野菜、そしてコーヒーの栽培を行なっていました。

 

▲まるで映画の世界のような、非日常的な雄大な自然がそこには広がっています。

 

ロンラン村は大自然に囲まれた森の中の村。

村のモン族は自分たちで食べるものは狩猟も含め自給自足で、まさに自然と共生しながら暮らしていました。

 

▲村の中で開かれていた刺しゅう教室。自然の中でコミュニティーを大切に暮らすモン族の生き方はとても力強いものでした。

 

ラオスの農園の特徴として、森で様々な作物を同時に育て、樹間で家畜も育てるアグロフォレストリーという形を取っているということ。

農園の彼らにとって、あくまで米や野菜がメインの作物で、コーヒー専業の農家ではないということも、一緒に改善をしていく上では大きなポイントでした。

 

▲広い森には、あらゆる場所にあらゆる作物が育てられています。

 

▲農家さんに作ってもらった優しい甘さのかぼちゃスープは絶品でした。

 

 

村のあたり一面にコーヒーの木が生えており、村人は、自分の家の裏の森に生えているコーヒーの木からチェリーを収穫し、それをチェリーのまま売り、お金に変えています。

まさにコーヒーの木に囲まれる、コーヒーの村でもあると感じました。

 

▲少し森の中に入ればどこにでもコーヒーの木が生えています。11月はちょうど収穫真っ只中でした。

 

 

チェリーを収穫して売るまで

コーヒーチェリーの売り先は、ルアンパバーンのコーヒーファクトリー。

チェリーから種を取り出し洗って乾かすための精製所を自分たちで持ち、焙煎機もカフェも持っている、地元のコーヒー企業です。

 

▲ロンラン村のコーヒーチェリーの売り先。精製所の様子。

 

週に1〜2回ほど、コーヒー精製所からの集荷員が村にやってきて、その場でチェリーを買い取って行きます。

集荷の前には村のコーヒー生産者グループに連絡が行き、集荷当日には朝から村人はコーヒーチェリーの収穫に励みます。

 

▲トラックでやってくる集荷員と、チェリーを買ってもらう農家さん。

 

コーヒーチェリーはフルーツなので、前の日から摘むことはありません。

その日の午前に収穫したチェリーを袋に入れて、それぞれの家の軒先に置いておきます。

お昼過ぎに車で来た集荷員がその場で重さをはかり、量に応じた現金を渡して行く流れでした。

 

 

 

赤い果実だけを収穫してもらう難しさ

 

チェリーといっても、熟したチェリーだけを収穫してもらうように集荷員は農家さんにお願いしています。

赤く熟したチェリーのコーヒー豆ほど、甘く風味豊かなコーヒーになるんです。熟度はコーヒーの品質においてとっても大切です。

 

▲熟度を確認して、未熟なチェリーをピックしている集荷員。

 

ただそれでも、なかなか熟した赤い果実だけが揃うことはありません。軽く見た感じでも、3割ほどは赤くないチェリーが混ざっていました。

今回、この精製所と一緒に、どうやったら美味しいコーヒーを精製できるか試す中では、チェリーの熟度を揃えることは必要不可欠な改善でした。

 

▲農家さんが集めたチェリー。黄色い熟しきってないチェリーもまだ多く入っています。

 

▲熟した赤いチェリーの重要性を説得する集荷員。未熟なチェリーが多い袋に関しては、概算で未熟分の数キロを引いた重さで買取額をやりとりしていました。

 

農家さんに赤い果実だけ集めることに関してどう思っているか聞いてみると、実は少し前まで中国のコーヒー会社が熟度関係なく一律に買い取っていた時代があったそうです。

コーヒーチェリーとしてはどれも同じコーヒーチェリーなので、なぜ赤いチェリーじゃないとだめなのか?自分たちがその味を楽しむわけでもないので、根本的に納得がいっていない様子でした。

 

▲インタビューしたチェリー収穫の経験も長い農家さん。赤いチェリーを摘むのは作業としても難しいんだと語ります。

 

コーヒーチェリーはすべての果実が同時に熟すわけではなく、栄養のいき方や陽の当たり方などで、同じ枝でも早く熟すチェリーがあれば、まだ緑色のままで遅く熟すチェリーもあります。

1本の木、1本の枝からも、完熟のチェリーだけを素早く選んで集めて行く作業は、技術も必要で、体力的にも大変です。

 

▲バラバラに熟すコーヒーチェリー。赤い果実を集めるのは容易ではありません。

 

 

精製所に運んだコーヒーチェリーは、まずパルピングという工程に移されます。

パルパーという専用の機械で皮をむき、中の種だけを取り出します。

 

▲精製所のスタッフは5名ほど。日中に精製が行われるため、チェリーの持ち帰りが遅くなる日には、チェリーは水に浸けて置いておき翌朝に精製が行われることも。

 

▲剥かれたコーヒーの皮は、乾燥させて肥料にします。

 

そして次に発酵の工程。種の周りについているベタつきを分解することが目的です。

今回は特にこの発酵の工夫によって、どうやったら驚きのある風味のコーヒーが作れるか、新しい試みをしてきました。

 

▲これが発酵の過程。種だけをそのままバケツや発酵槽に入れ、適度に撹拌しながら約24時間寝かせます。

 

今回は、発酵させる時間、発酵させるときに水を加えるか加えないかを細かく試し、そして日本酒シャンパンなどの酵母を加えて発酵を促すサンプルも作ってきました。

実はもうそのサンプルは乾燥が終わり、サンプル焙煎も今日東京で行いました。

 

このコーヒーは、

2018年1月13日に吉祥寺LIGHT UP COFFEEで開催の「発酵方法による味の違い」

のイベントにて、テイスティングしていただきながらご紹介したいと思います。ご興味のある方はご参加お待ちしております。

 

 

▲発酵が終わったコーヒーは水洗。水が綺麗になるまで洗い続けます。

 

次の水洗の工程では、発酵によって分解された種の周りのベタつきを、もみ洗いしながら落としていきます。

この精製所では足で踏みながら洗っていました。

 

▲洗いきったあとの状態。水も透明になれば完璧です。

 

▲綺麗に洗うほど雑味は減り、コーヒーにした時の透明感は増します。

 

残るは乾燥。洗ったコーヒー豆は乾燥場まで運び、乾燥ムラに気をつけながら2週間ほどかけて乾燥していきます。

現地ではブルーシートを広げ、直射日光を当てながら急速に乾燥していましたが、今回はアフリカンベッドと呼ばれる通気に優れた乾燥台を作り、そこでの新しい乾燥を試しました。

 

▲アフリカンベッドにコーヒー豆を並べている様子。

 

▲定期的に混ぜながら、10%台の水分量を目指します。

 

美味しいコーヒーを作るということ

 

コーヒーを作ることは、簡単ではありません。

ロンラン村には、たくさんの作物が育てられていますが、ほとんどが簡単な加工で済むものばかり。コーヒーは特に手間がかかる一方で、あまりお金に還元されない作物でした。

そんな手間のかかる作物を、もっと手間をかけて美味しく作ってくれというオーダーは、彼らの現状を考えると大きな負担にもなり得ます。

 

▲農家さんの地道な作業。簡単な仕事ではありません。

 

労力をかけてもらうからには、相応の対価を渡す必要があります。

赤いチェリーの比率が大きいほど買取額を増やしたり、また手間のかかる精製をする分、生豆の販売額を増やしたり。

 

▲精製所の様子。丁寧に洗って乾かして。

 

最終的には、僕たちコーヒーショップがどうやってそのコーヒーを届けるか。大きな責任があると感じました。

 

農家さん、それを支える精製所の人たち、現地のコミュニティ。

彼らの暮らしや、現地で肌で感じた大自然の魅力、生産に対する工夫や思い。

 

味だけではなく、そんなストーリーも一緒に楽しめると、1杯のコーヒー以上の体験がそこに生まれ、農家さんにもっと還元できることが増えると思いました。

 

▲人が作るコーヒーだからこそ、人を大切にしたいと、改めて感じました。

 

 

森からコーヒー農業を考える トークイベント開催

 

2017年12月18日に渋谷FabCafeで開催する fruitiful Report #1「百年先も続く豊かな森と、コーヒー栽培」では、この時の村で直面している課題や、生産改善の様子を、詳しくお話しいたします。

発酵に注目したコーヒーのテイスティングもございます。

 

 

開催終了しました。ご参加いただいた皆様ありがとうございます!

詳細はこちら→ https://fabcafe.com/tokyo/events/fruitifulreport_001

 

 

 

発酵による味の違いを解説

 

2018年1月13日に吉祥寺LIGHT UP COFFEEで開催の「発酵方法による味の違い」では、精製の過程を紹介しながら、今回試したすべての発酵方法違いのコーヒーをテイスティング。

それぞれの味の違いや、発酵が風味にもたらす影響まで、解説していきます。

 

コーヒーに詳しくない方でも、バリスタの方でも、ご興味ある方はどなたでもご参加お待ちしております。

詳細・申込はこちら:http://lightupcoffee.com/seminar/3471/