相原民人のコーヒー農園訪問記

2018.04.06
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こんにちは。LIGHT UP COFFEEの相原です。

 

昨年の話ですが、僕はインドネシア・バリ島のコーヒー農園に3日間訪問してきました。

コーヒー生産の原点である農園に行って、たくさんのことを感じました。

今回は僕がコーヒー農園で個人的に思ったことを書かせていただきました。

 

▲バリのキンタマーニの農園にて

 

アジアでのコーヒー農園プロジェクト

当たり前ですが僕らはコーヒー従者である前に1人の人間で、生きていくために仕事をすることで文明を築いてきました。

 

LIGHT UP COFFEEは同じアジア人として、アジアのコーヒーを美味しくしようとするプロジェクトを行なっています。

 

アジアにはまだ美味しいという質に値段をつける所謂スペシャルティコーヒーの文化はほぼありません。量でしか買取をされないため、美味しく作ろうという思想はなく効率を重視したり、はやくお金になる作り方が行われています。大変さ故にコーヒーをやめる農家もたくさんいます。

なので努力と値段が比例するスペシャルティコーヒーをアジアでももっと広げて行こうというプロジェクトです。

アジアのコーヒーはイメージとしては土っぽくあまり美味しくありません。けれどいい品種が植わっているところもあり、そういうところでは精製をしっかりやれば中米に負けないくらいのポテンシャルのコーヒーを作ることができるのです。

 

今回、機会を頂いてプロジェクトを一緒に進めているバリの農園に行ってきました。収穫期なのもあり、他のアジアの生産者も招いて、精製の方向性を固めていくところにお邪魔しました。

 

▲収穫もやらせていただきました

 

農家は正しいコーヒーを作っている

一部の農園しか見ていないから限りなく狭い視野での意見ではありますが、スペシャルティコーヒー農家はコーヒーを作ることに間違いなくプライドをもっているように思います。そして家族を含む自分たちの作ったコーヒーに携わる人をとても大切にしています。

 

話を聞かせてもらったベトナムの農家はちゃんと自分たちのコーヒーの個性をきちんと感じられる浅煎り〜中煎りのコーヒーが好きと言っていてとても嬉しかったです。

自分たちが正しいと信じているコーヒーは農家にとっても真実なんだと。僕らもそうであるようにお金だけをモチベーションにしているわけでなく「自分がやっていることが正しい」というプライドのもと努力しているように感じました。

 

しかし大多数の農家は自分が作っているものに興味がない風でした。

このプロジェクトを進めて、いいコーヒーにはお金を払うという文化をもっと成熟させ、コーヒー農家がお金がちゃんと得られるようにするのもちろんなのですが、お金以外のモチベーション(自分が作るものが人を幸せにしている)を持ってもらうことところまで持っていきたいと思います。

 

▲適正熟度の物とそうで無い物は厳しく分けられます。

 

▲果実の身をとったあと入念に洗います。しっかり洗うか洗わないかで仕上がりに天地の差が出ます。

 

 

農家との信頼があってのコーヒー

コーヒーの仕事は単純ではないと改めて感じました。関わる人が多いからです。

1番農家にとっていいのは焙煎までやってカフェをやることだと思いました。最初から最後まで自分たちでやれば利率も高くグリーンを売るだけより圧倒的に稼げます。

けれど途上国にはお金に余裕が無いので嗜好品の需要がなく、生豆は輸出せざるを得ない状況にあります。そして輸出に関わる人が増えれば増えるほど、それぞれのレイヤーにいく利益を薄まっていってしまいます。

だからダイレクトトレードがよいのだと思います。量でまとめて買うコモディティコーヒーは仲介業者など関わる業者が多く、農家にいく利益は雀の涙ほどのため、需要が増えたところで農家にとっては負担になるだけだと思いました。

 

きっとこの先いいコーヒーはどんどん高くなっていくでしょう。僕らもキツくなっていくかもしれません。けれどそれでいいと思いました。はっきりいって今のコーヒーが安すぎると思います。

毎日いいワインを飲む人もいれば、特別なときにいいワインを開ける人もいます。

コーヒーとそれと同じようにデイリーなものとスペシャルなものは別れていくでしょう。

 

僕らのプロジェクトの課題はいいコーヒーを求めれば求めるほど小ロットになることです。収穫したコーヒーチェリーから選りすぐりのものを集めた方が美味しさの純度は高まりますが、トップのチェリーを除いたそれはスペシャルとは言えないロットになってしまいます。

コーヒーを売る、買うだけの付き合いだったらそれでいいかもしれませんが、ダイレクトトレードはそうはいきません。今まで農家のやり方を変えているわけですから、ちゃんと利益がでるように責任を持たないといけない。

高品質のものからコスパの良い物まで、小売の様々な需要に応える商社がコーヒーを買い付けるのは非常に理にかなっていると感じました。

 

対策としてはコーヒーチェリーを摘むピッカーへちゃんとした報酬を渡して完全な完熟をピックしてもらうことにより、限りなくよくないコーヒーを減らすことが有効だと思います。

しかしピッカーにきちんとした報酬が払える利益が上がるまでその農園に投資することが必要になります。コーヒーとは早く結果を出すのではなく、信頼関係のもと、長い目で見ていかなければならないのだなと思いました。

 

▲プロジェクトに参加するみんなで

 

コーヒーは綺麗事じゃない

今回の訪問で印象的だったシーンは、ローカルマーケットで業者が鶏を絞めている光景です。首をきって鮮血が滴り、鶏は首を切られたあともジタバタと動いており、思わず目を背けたくなるようなシーンですが、それが現実です。

食物連鎖があって生き物を殺すことで僕らは生きており、同じように物事の多くは何かの犠牲に上に成り立っています。

 

加工した肉しか見ていない先進国に住む僕らと違い、途上国はまだまだ生きていくのに精一杯なとこもあり、僕らの平和ボケした思想を押し付けても空回りして終わるだけのときもあります。

僕は今までコーヒーの仕事に対して綺麗事しか言えませんでした。だけど農園を訪れて、生き物を殺して食べるようにコーヒーも負の面はあるということを学びました。沢山の犠牲のもと成り立っているということを理解しているかいないかは大切だと思います。それを肌で感じることができたので今回の訪園は本当に有意義でした。

 

▲バリのマーケットにて

 

1杯のコーヒーの裏にあるストーリー

コーヒーは日常的な飲み物です。しかしその一杯にはたくさんのストーリーが詰まっています。

先進国となり大量生産大量消費が当たり前になってしまった私たちは、大切なものを見落としがちなのかもしれません。

実際コーヒーも加工された「モノ」としての扱いをされることが多いように感じます。

 

コーヒーを作る農家からカップを提供するバリスタまで、みんなが幸せになれるコーヒー文化を作っていけるよう精進していきたいと思います。