宗像真奈美の精製所レポート – バリ島の農家の暮らし

2018.08.17
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はじめまして。LIGHT UP COFFEEの宗像 真奈美です。

宮崎の滞在後、バリ島の同じ精製所に2週間滞在してきました。

 

前回の記事には、私たちのバリ島での取り組みや、コーヒーの精製方法についてまとめていますので、まだの方はぜひご覧ください。

今回は、バリ島の人々の暮らしにフォーカスしたストーリーを皆さんにお伝えしたいと思います。

 

ゆったり時間が進むバリ島

初めてのバリ島でしたが、私は滞在しながら「バリ島の人々はいつもにこやかでのんびりと暮らしているな」と、とても感じました。なぜみんな楽しそうに暮らせるのでしょうか?

 

私も精製所で共に暮らしてみて1番に感じたのは、豊かな大自然に囲まれていること。そしてそのおかげで気持ちにゆとりが生まれるということです。

 

▲バトゥール山が一望できる、精製所からの眺め。

 

沢山のビルや大勢の人々に埋もれる暮らしとは違い、神聖な山、広い空、満天の星、綺麗な空気に囲まれていると、自然と心も穏やかになっていきます。

 

バリ島には、沖縄のなんくるないさ〜のように、「ティダアパアパ」という言葉があります。あくせくしていたり、何かを間違えてしまったときなどに、どうにかなるよ、気にしなくていいよ、という意味で使われます。

ここにもバリ人の寛大で楽天的な性格が表れていますね。そのような焦らずのんびりやろう、という気持ちは一体どこから生まれるのでしょうか。

 

精製所の周辺の農家さんは、牛や鶏などの家畜を育てながら、畑でコーヒーやオレンジの栽培をしています。朝起きたら、家の周りからオレンジやバナナを取ってきて、自分の家畜から牛乳や卵を手に入れることができます。

せかせかと働かなくても、家族との時間を大事にしながら、ある程度は自給自足で十分に生きていけるのです。

 

▲農作物と一緒に生きる農家さんたち。

 

私たちは便利なものに囲まれ、学校に行けて、仕事があり、好きなものを自由に買える、そのような暮らしに慣れてしまってはいないでしょうか。目の前にあるものに感謝をすることを忘れ、小さな幸せに気づけていないかもしれません。

バリ島には、家族や友人と共に祈り、支え合い、自然と共存しながら生きて行くという、贅沢品に溢れた暮らしにはない豊かさがありました。

 

バリ島独自のバリ・ヒンドゥー教

また、バリ島の人々にとって生活の根本となっているのがバリ・ヒンドゥー教です。インドネシアは90%がイスラム教徒ですが、バリ島にはインドのヒンドゥー教とも異なる独自の宗教があります。

 

彼らは輪廻転生を信じており、前世での善悪の行いは残り、現世にも現れるといいます。バリ人は「人間は生まれ変わる」と考えるために、お葬式もまるでお祭りの様に賑やかなものです。

そして日々のお祈りの中で彼らが祈るのは、お金持ちになることや自分のほしいものを手に入れることではなく、世の中が平和で、安らかであることだと言います。

 

▲コーヒー精製所を一緒に運営するパ・コチョンの父の家にある伝統的な建物。

 

バリ島に住む人々にとって信仰は生きる上で欠かせないものであり、その為の祭事は細かいものだと月に何度もあります。特に農村では宗教行事が生活の全てであり、人々は祭事にかかるお金のために働きます

 

バリ島では中学校までの教育費は無料ですが、バリ・ヒンドゥー教の祭事ごとにお金がかかります。そのため、特に農村の家庭では親の仕事を手伝うために学校に通わない子も多いようです。

 

コーヒー精製所を一緒に運営するパ・コチョン兄弟は、彼らが幼い頃は家庭の収入も少なく学校に通えなかったそうですが、自分たちは精製所での仕事が出来ているので、彼らのお子さんは学校に通えているのだと嬉しそうに教えてくれました。

 

▲精製所によく遊びに来てくれた子どものマデくん。

 

もし農家が質の高いコーヒーを栽培し、きちんと収入を得ることができるのなら、子どもたちも高校・大学に通えるようになるかもしれません。

コーヒーを消費する私たちにとっては嗜好品の1つですが、現地の彼らにとってはコーヒーは農業であり、生活を支える大切なものです。

 

作る人も飲む人も豊かになる

今回は、新しい精製所での初めての取り組みでした。

来年度に向けて、コーヒーチェリーを摘むピッカーさんが、より赤く熟したチェリーだけを摘めるようにすることや、生産量を増やすためにグリーンハウスを増設すること、精製所のスタッフの増員など、色々な課題も見えてきました。

中南米やアフリカと違い、まだまだ手の行き届いていないアジア。だからこそ可能性は無限にあります。

 

▲色も味も全然違う、熟度ごとのコーヒーチェリーたち。

 

私の滞在は2週間という短い期間でしたが、私自身にとってずっと念願だったコーヒー農園訪問、精製に参加することができ、たくさん驚いたりすると思っていましたが、正直なところそうではありませんでした。

それは、ここではコーヒーを栽培し、精製するということが当たり前の日常だったからです。庭先に生えているオレンジのように、コーヒーの木が日常に寄り添っています。

 

▲お世話になったカフェのTシャツに書かれている”Pick red cherry”の文字。赤いチェリーだけを摘むことが、作る人も飲む人も、誰もがハッピーになれるはずです。

 

私たちの精製所は、現地の力強いサポートもあり、コーヒーの収穫から精製、そして焙煎、品質確認、抽出まで一貫して行うことができる、素晴らしい環境が揃っています。

今後は農園や精製所のツアーなどもできたらと思っていますので、楽しみにしていてください。

 

 

私たちにとってコーヒーは、生活になくても生きていけるもの。でも、あったらもっと素敵な暮らしになるかもしれません。

 

目の前にあるおいしい一杯のコーヒーは、遠い国の誰かが、丁寧に作り上げてくれたからこそ、そこにあります。

 

たった一杯のなかにも、沢山のストーリーが詰まっているのです。

 

 

宗像 真奈美

LIGHT UP COFFEE

 

 

今回の取り組みについての記事、こちらもよろしければご覧ください。

 

宮崎弘隆の精製所レポート – バリ島にできた新しい精製所

宮崎弘隆の精製所レポート2 – コーヒーの品質改善

 

イベント開催します

 

8月25日(土)に、このバリ島の精製所で生産したコーヒーをみなさまにテイスティングしていただける、農園レポートイベントを開催します。

農家の暮らしや、生産の詳しい話を、写真を交えてご紹介します。

 

「コーヒーの生産と農家の暮らし。」

8月25日(土)16時-18時 渋谷FabCafe

 

 

ロースター・バリスタのコーヒー関係者の皆様には、無料でご参加できるカッピング会も開催します。勉強になる色んな精製サンプルも並ぶ予定で、コーヒー生豆のご購入も可能です。

ぜひ丁寧に作ったバリ産のコーヒーを1度味わってみてください!

 

「バリ産コーヒーのカッピング会」(ロースター・バリスタ限定)

8月25日(土)14:00-15:30 渋谷FabCafe