川野の農園訪問記 – ジャワ島のヒダヤットさん
2018.04.27
こんにちは。LIGHT UP COFFEEの川野です。
先日インドネシア・ジャワ島に行って来ました。
僕が訪れたのはジャワ島の西部 West Javaのバンドゥンという都市。首都のジャカルタから車で4時間ほどの場所です。
昨年から一緒に生産に取り組み始めたヒダヤットさんの農園と精製所を訪問しました。
彼との出会いは去年の2017年。アジアの農園からサンプルの生豆を取り寄せている中で知りました。
インドネシアのコーヒー生産は、スマトラ式が主流です。
水洗式(Washed Process)ではコーヒーの種を水洗いした後10%ほどの水分率になるまで乾燥させるのに対し、スマトラ式は約20%の水分率の時点で乾燥を終わらせ、輸出業者へと売られ、輸出業者で10%の水分量にしてから出荷されます。
20%から10%の水分量になるまでは1週間ほど乾燥日数がかかるので、農家としてはスマトラ式で作れば1週間早くお金が手に入り、輸出業者としても早く商品が手に入り、そして水分を多く含んだ状態で保存させることによるアーシー(earthy)とも呼ばれる独特の力強い風味が生まれることが特徴の生産方法でした。
これが今までのマンデリンなどに代表されるインドネシアらしい風味です。
ただ今回、ヒダヤットさんとの取り組みでは、品種本来の個性を最大限引き出す水洗式の精製で、農園で乾燥を終わらせるようにお願いして作ってもらいました。
昨年2017年には、少量だけ試してもらった水洗式のコーヒーをバリ島で一緒にテイスティングしました。
ヒダヤットさんにとっては人生で初めての水洗式の精製です。
透明でみずみずしく、柔らかいみかんのような果実味。
まるでエチオピア産のコーヒーを飲んでいるかのように、繊細で華やかな風味。
インドネシアのコーヒーのイメージをいい意味で覆す、これまで飲んだインドネシア産コーヒーの中で最も美味しいコーヒーでした。
品種はプレンガ(preanger)と呼ばれる品種です。ティピカ(typica)という品種の現地での呼び名だそうです。
もともとコーヒーの起源はエチオピアです。東インド会社の貿易時代に、イエメン、ジャワ島へとコーヒーの苗木がわたり、その木がフランスのルイ14世にプレゼントされ、ティピカと名付けられて中南米へと広がっていったと言います。
そんな歴史を考えると、このジャワ島にある繊細で華やかな風味のプレンガは、原種に近い、歴史的にも意味のあるコーヒーなのかもと思い、僕はわくわくしながら生産を応援しています。
今年は初めてヒダヤットさんの農園を訪問し、どんな環境で生産に取り組んでいるか改めて確認しました。
もっと素晴らしいコーヒーを生産するために、発酵や乾燥の方法を確認した後、周囲の農家さんみんなに僕たちの「アジアで世界レベルの美味しいコーヒーを作りたい」という思い、そしてこのヒダヤットさんの農園にはアジアで1番美味しいコーヒーになりうるポテンシャルがあることを熱く伝えてきました。
農家のヒダヤットさんはまだ25歳。
つい最近農園を父から引き継ぎ、生産を任され、美味しいコーヒーを作ろうと強く意気込んでいます。
ジャワ島の生産はちょうどこれから。
4月〜6月ごろにコーヒーチェリーが赤く熟し、収穫・皮むき・発酵・水洗・乾燥と生産が行われます。
歴史あるこの土地で、真剣に取り組む彼らの仕事。
どんなコーヒーが出来上がるかとても楽しみです。
LIGHT UP COFFEEでどこかのタイミングで、このヒダヤットさんのプレンガを楽しんでもらう機会も作ろうと思っています。
これからも僕たちは、近い同じアジアでこそ、努力に見合った形で農家に還元されるように、美味しいコーヒーの生産に取り組んでいきます。
川野優馬
LIGHT UP COFFEE