宮崎弘隆の精製所レポート – バリ島にできた新しい精製所
2018.08.14
はじめまして、LIGHT UP COFFEEの宮崎弘隆です。
僕は今回コーヒーの生産のためバリ島に滞在してきました。3週間コーヒーの品質向上のために試行錯誤しながら生産に取り組んでいます。
精製所、作りました。
今回私たちは、現地の方々と一緒に精製所を建設しました。完成したのはたったの1ヶ月前、できたての精製所です。ここでコーヒーの生産を行います。
ここは精製所なので農園ではありません。コーヒーを精製する場所で、コーヒーチェリーは周辺の農家さん達から買い付けます。
果肉のついたコーヒーチェリーを焙煎前の生豆の状態にすることを精製と呼びます。
精製所があるのはインドネシア・バリ島東北部の高原にある標高1,300mほどのキンタマーニという場所。活火山であるバトゥール山の麓にあります。
昨年LIGHT UP COFFEEの川野、相原、林が滞在中お世話になったカフェ「Kintamani eco bike coffee」のすぐ近くにあります。精製所の運営もこちらのカフェの方々に協力して頂いていて、今回僕の滞在の面倒も見てくださいました。
▲カフェから見える活火山たち。写真下部に小さく見える白いのが精製所です。
▲カフェのオーナーのバユさんユニさんご夫妻。とても明るく気さくで素敵な方達です。
今回精製のクオリティーコントロールは僕とバユさん主導で行いました。
美味しさを追求する手作りの精製所
カフェを出て山道を10分ほど歩いて下ると精製所に辿り着きます。
そこにはビニールハウスも3棟用意してあり、中でコーヒー生豆の乾燥を行っています。
ここバリ島では特に最近、乾季でも天候が不安定なので、雨を遮って乾燥させる設備は美味しいコーヒーの為には不可欠なんです。
▲区画をしっかりと分け、生産ロットごとに豆を管理。3列2段で、室温は昼間は40度以上にもなります。
グリーンハウス内にはインドネシア語で“パラパラ”と呼ばれる乾燥台があり、ここではハニープロセス、ナチュラルプロセス、またコーヒーチェリーの乾燥が行われます。
そしてグリーンハウスの正面には小屋があり、僕が寝泊まりしています(笑)
▲寝泊まりしている小屋。端っこで気持ちよさそうに寝てるのは看板娘のボアちゃん
小屋のすぐ隣にはパルパーという、コーヒーチェリーの皮を取り除いて種を取り出す機械があります。皮をとったコーヒー豆をこの辺りでバケツの中で手洗いします。
▲綺麗な水で何度も手洗いし、水が透明になるまで洗い透明感あるコーヒーを目指します。
そのすぐ奥にはソーティングいうコーヒーチェリーの選別をする為のテーブルがあります。ソーティングで赤く綺麗に熟したもの、未熟なもの、過熟なものを選別しグレード分けをします。
▲周辺地域の女性や子供達がソーティングを手伝いにきてくださいます。
トイレ、シャワーも完備されており、滞在はとても快適です。もちろんここはバリの山奥なのでシャワーのお湯なんて出ません(笑)
小さい精製所ですが1日で大体コーヒーチェリーの重さで200kgほどの生産が可能です。
▲この精製所の責任者のパ・コチョン(パ “Pak”はインドネシア語でMr.)。ローカルの方である彼がチェリーを周辺の農家さんから買い付けます。とても勤勉な方で仕事もとても丁寧にやってくれています。
▲パ・コチョンの息子さんのボビ君。5歳だけど、コーヒーは美味しいので、もうブラックで飲めちゃいます。
なぜ自分たちで精製を行うの?
今回、どうしてわざわざ自ら精製所をつくりコーヒーの生産をするのか、従来のように業者からコーヒーを買えばいいんじゃないの?と思うかもしれません。
2年前にクラウドファンディングでアジアで美味しいコーヒーを作るプロジェクトを始めて以来、私たちは現地に赴きアジアでコーヒーをより美味しくする活動を行ってきました。
生産の指導やアドバイスをした農家さん達のコーヒーの品質は確実に向上しています。私達が直接生産指導したKuma Ulian農園やBelantih農園のコーヒーは先ほど紹介したカフェで提供していますが、クオリティーの高さに僕も感動しました。
▲Kuma Ulian農園にもお邪魔してきました。オレンジとコーヒーが交互に並ぶように設計されていて効率的な生産がされていました。
しかし、コーヒー生産地にはたくさんの農園があり、全ての農園に行って生産の指導をするのは容易ではありません。
精製する為の設備が揃っている農家はほとんどなく、現実的ではありません。そこで、農家さんからチェリーを買い取って自らコーヒーを精製することで質的にも量的にも安定したコーヒーを生産できます。
さらにはこの精製所が安定して稼働するようになれば、ここを拠点にワークショップなどを行うことで農家さん達に改めてコーヒー生産の指導が可能になります。
私達は、世界を驚かすような素晴らしい風味のコーヒーがアジアから世界に広まって行くと信じています。私達の取り組みはまだまだこれからです。
▲バトゥール山の山頂から
宮崎弘隆
LIGHT UP COFFEE
この記事の続きも書きました。よろしければご覧ください。
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農家の暮らしや、生産の詳しい話を、写真を交えてご紹介します。
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