コーヒーの知識 Vol.4 – 精製方法によるコーヒーの味の違い

2021.02.11
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コーヒーの風味を決める大切な工程「精製」。今回は精製によってどう味が変わるのか、主な精製方法についてご紹介していきたいと思います。

 

精製とは、収穫したコーヒーチェリーから種であるコーヒー豆を取り出し、乾燥させるまでの後処理の工程のことです。近年になってこそ、様々な個性的な精製が行われるようになってきましたが、主には次の3種類の精製が行われています。

 

 

精製方法1: Washed

ウォッシュト。日本では水洗式とも呼ばれる精製方法。すっきり爽やかな味わいが特徴。スペシャルティコーヒーの精製においては最も一般的で、最も品質が安定しやすいつくり方です。

 

収穫したコーヒーチェリーはまず熟したものとそうでないものとでより分けられます。熟したチェリーだけを集めることで、より甘さや香りの詰まったコーヒーとなります。

次に、皮むきの工程。「パルパー」と呼ばれる皮むき機にコーヒーチェリーを入れ、皮と種とで分けていきます。この種の部分には、「ミューシレージ」と呼ばれる、糖分を含む半透明の膜がついており、これを洗い落として乾燥させるのがWashedです。

ミューシレージは種に強くついておりそのままでは洗い落とすことができないので、この次の工程「発酵」を行います。発酵は、微生物が糖分を水や二酸化炭素に分解する反応のことです。チェリーについていた微生物がミューシレージ付きの種と一緒に1-3日寝かされることで反応が進み、発酵が終わった頃には手で触っても種のザラザラした質感が分かるほどにミューシレージが分解されます。

この発酵の工程で、オレンジや桃のような、豆ごとに個性があるフルーツの風味が生まれるとも言われている、風味を決定づける重要な工程です。発酵が不十分だとミューシレージが落ちず風味は単調になり、発酵をし過ぎるとアルコールやビネガーのような鋭い酸味、後味のドライな印象が出てしまいます。気温が高いほど発酵は早く進み、低いほどゆっくり進むので、豆の状態を見ながら発酵の止め際を生産者さんごとのやり方でみています。例えば棒を豆の中に差してその感触で判断する方や、舐めてみて味で判断する方、ph計でphを計る生産者もいて、やり方はそれぞれです。

 

 

発酵が終わったコーヒーは、水路に流したり、水洗のタンクに入れたりして、水が透明になるまで洗います。水洗を十分に行い、発酵したミューシレージを洗い切ることで、透明感あふれる雑味のないコーヒーとなっていきます。そして洗い終わったコーヒーはそのまま乾燥場へと運ばれ、水分量が10%台になるまで乾燥されます。

通気のいい網の乾燥台で乾かす場所もあれば、コンクリートに並べてその熱で乾かす生産者も。「パーチメント」と呼ばれる殻がついた状態なので、最後乾燥が終わったら機械で脱穀することでコーヒー生豆となります。出荷前にはふるいにかけて、粒の大きさを揃えたり、密度の高いものをそろえたり、虫食いや欠けた豆を除去するなどして、品質を揃えて1つのロットとなります。

 

 

精製方法2: Natural

 

ナチュラルは、コーヒーチェリーのまま乾かし、乾燥したら乾いたコーヒーの皮ごとまとめて脱穀して中のコーヒー生豆を取り出す精製方法のことで、フルーティな風味になることが特徴です。水を必要としないので、険しい山岳地帯のような水が引けない地域でも可能な精製です。

 

 

工程は非常にシンプル。果実のまま乾燥させるので独特の発酵がおき、主にベリーのような果実の風味が強くなるのが特徴です。うまく出来上がるとその魅惑的なフルーティな香りから価格も高くつくのでナチュラル精製に挑戦する生産者は増えています。しかしコーヒーチェリー丸ごと乾かすのでかさが大きく乾燥の場所を取り、通気に気をつけないと発酵が進みすぎてしまいます。また、中の豆の水分量管理が難しいことなどから、安定して美味しく仕上げるのが難しい方法でもあります。乾季の収穫期であっても近年は気候変動の影響で雨が降る日もあり、ナチュラル精製の乾燥中に1度でも雨が降ると一気に乾燥が長引いてしまい、品質だけでなく乾燥場が空かず次の収穫分を乾燥させる場所がないという問題にもつながってしまいます。管理は難しいが、うまくいくと感動的な風味になる、そんな精製がナチュラルです

 

精製方法3: Honey

 

ハニープロセス。別名パルプドナチュラル。甘さと質感が出てくるのが特徴。皮むきしたコーヒーをそのまま乾かすやり方で、ちょうどWashedとNaturalの中間のような精製方法です。

 

 

皮むきはしてもミューシレージはついたまま乾かすのがこのハニーです。乾燥台の上で糖分の発酵が起き、徐々に色が黒っぽい色へと変化していきます。この発酵によって、Naturalほど強くはないレベルで、程よい果実の甘い香りが感じられるコーヒーとなり、同時にとろみのある舌触りも備わることが多い精製方法です。発酵が進むほど色は濃く乾燥し、出来上がったパーチメント付きコーヒー豆の色によって、ホワイトハニー、イエローハニー、レッドハニー、ブラックハニーといった細かい名前も名付けられたりします。ホワイトハニーほどWashedに近く、ブラックハニーほどNaturalに近い傾向があります。このハニープロセスも、皮むきさえできれば水がなくてもできる作り方なので、ブラジルの山奥などの険しい場所で行われています。