コーヒーの知識 Vol.7 – コーヒーの流通と価格

2021.08.19
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コーヒーは、赤道付近の生産国で生豆がつくられ、消費国まで船などで運ばれ、焙煎・抽出が行われることで私たちの元に渡っています。今回は、生産から消費までのスペシャルティコーヒーの流通を一例を紹介します。
コーヒーの流通を図にしてみると、おおよそこのような流れとなります。参考までに各工程においてのスペシャルティコーヒー生豆1kgあたりの価格例を記載いたしました。順を追って解説していきたいと思います。

 

1. 農園→精製所

コーヒー生産は農園でコーヒーの木を栽培するところから始まります。スペシャルティコーヒーの原料となる風味豊かなアラビカ種の豆は、赤道付近の標高が高いエリアで育てられます。収穫期になるとコーヒーチェリーが赤く実り、農家さんの手によって2ヶ月ほどかけて収穫されます。収穫されたコーヒーチェリーは1kgあたり0.5-1 USDほどで精製所へと販売されます。精製所とはコーヒーチェリーから種を取り出し乾燥させる、収穫後の後処理である精製を行う場所のことです。チェリーから皮剥き、乾かし、選別することで重さが減り、およそ20%ほどの重さのコーヒー生豆になるため、コーヒー生豆1kg分となる5kgのコーヒーチェリーで約250円ほど。 甘さや香りの質が高くなる赤く熟したチェリーだけを手摘みで揃えることで、プレミアムという上乗せのお金が買取時に支払われたりします。

2. 精製所→輸出業者

精製が終わったコーヒー生豆は輸出業者の手に渡り、売り先である商社やコーヒーショップとの交渉が行われます。コーヒー生豆の輸出には国ごとにライセンスや植物検疫報告といった特別な手続きが必要です。また各精製所や各生産者が商社やコーヒーショップと直接とつながっていることは少ないため、海外との取引は輸出業者が行うことが一般的です。直接産地でのテイスティングや生豆サンプル送付を通して品質を確認の上、売買の契約がなされます。基本的には風味の品質によって輸出業者側がベースの価格をつけることが多く、品質や価格、購入したい風味の方向性などを踏まえてバイヤーは購入を行っていきます。輸出国のFOB価格(現地港での商品価格)でロットによりますが生豆1kgあたり6 USDほど。輸入者はこのほかに、船代・陸路運賃・輸入諸経費などを支払うことになります。

3. 輸出業者→商社

生産国の輸出業者の販売リストの中から、商社は商品を購入します。コーヒー生豆は船で運ばれ、商社の倉庫にたどり着くまで、距離によりますが約1-2ヶ月程。生豆は鮮度も大切で、基本的には同じ産地より翌年の収穫のコーヒーが届くまでの1年間で消費しきるよう販売がなされていきます。人気の産地、優れた風味のコーヒー豆から先に売れていくことが多く、例えばエチオピアのコーヒーは通常7月-9月頃に到着するのですが、ロットによっては倉庫到着後すぐに1年分完売してしまうこともあります。ここでの商社からの販売価格には現地での生豆購入価格に加えて、輸入に関する費用、倉庫費用も加算されています。

4. 商社→焙煎所

商社が定期的に開催するテイスティング会や、生豆サンプル送付などによって焙煎機能を持ったロースター・カフェなどが生豆を購入し、焙煎所へとトラックで運ばれます。商社から仕入れた生豆は、焙煎の後販売されます。ロースターによってコーヒー豆が直接小売される場合や、他のカフェ・飲食店などに卸販売され、そこで抽出されて提供される場合もあります。焙煎機にかかる費用や焙煎の技術なども含め、カフェ・レストラン向けの業者卸価格で1kg 4000円ほど、小分けの小売販売で1kg 8000円ほどが一般的です。焙煎の方法で味の仕上がりが大きく変わるため、各ロースターはそれぞれのコンセプトで焙煎し、それぞれの伝え方を工夫しています。

5. 焙煎所→カフェ

焙煎豆を仕入れ、粉にして、お湯をかけて、コーヒードリンクにする最後の工程が各店舗でなされます。焙煎された1kgのコーヒー豆で約60杯分ほど。おいしい液体にするためにはレシピ調整や抽出などの技術も必要なため、人件費や固定費、技術習得のための原料なども経費としてかかります。なぜその豆を選んだのかという意思も含め、豆ごとの個性や違いを伝わる形に整え、心地よい体験としてプレゼンテーションするのがバリスタの仕事です。焙煎を自社で行うショップも多く、私たちLIGHT UP COFFEEも自社焙煎で提供しています。

生産から流通まで、個性を大切に生産・輸送・焙煎・抽出が行われるからこそコーヒーは美味しいのです。人がつくるからこそ面白いコーヒー。どう流通しているかにも目を向けてみると楽しみの幅が広がるかもしれません。