コーヒーの知識 Vol.1 – スペシャルティコーヒーの魅力と価値

私たちが届けているスペシャルティコーヒー、シングルオリジンコーヒーとは一体どんなコーヒーなのか?言葉の意味を説明しつつ、私たちが扱うコーヒーの魅力や価値についてご紹介したいと思います。

 

スペシャルティコーヒーとは?

私たちLIGHT UP COFFEEは、スペシャルティコーヒーを「違いが美味しいコーヒー」と定義します。その「違い」は、育てる品種や精製方法、土壌の管理方法、なぜその場所でコーヒーをはじめたのかという歴史から紡がれた個性、それらによって生み出されます。そんな個性あふれるコーヒーに美味しさやおもしろさを見出し、私たちはその違いが明確で心地よく楽しめるような、豆の仕入れ、焙煎、抽出を行っています。

 

そもそもスペシャルティコーヒーという言葉は、1982年に設立されたアメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)によって定められました。SCAAによる定義を要約すると、産地個性や情報の透明性があり風味が素晴らしいコーヒー。SCAAではコーヒーを100点満点で採点するテイスティングの評価基準を設け、点数が80点以上のものをスペシャルティコーヒーと呼んでいます。日本では2003年に設立された日本スペシャルティコーヒー協会によって改めてその言葉が定義されています。

 

では、そんな丁寧に生産管理された、美味しさの点数の高いスペシャルティコーヒーはどんな味がするのか?テイスティングの評価基準では、フレーバー、後味、酸味、甘味、バランス、透明感、といった項目ごとに点数をつけていくのですが、主には雑味なく、果実感があるコーヒーが美味しいと捉えられます。熟した果実の甘さと香りが広がりつつ、酸化した酸味ではなくフレッシュな果実のみずみずしい酸味も感じて、全体的にクリアに味わえる。そんなコーヒーは、感じたフレーバーをオレンジ、イチゴ、といったようなフルーツに例えて表現することも多く、私たちが扱うコーヒーもこのようなフルーティな個性が心地よいコーヒーを、季節ごとに様々な生産者から仕入れてお届けしています。

 

 

シングルオリジンとは?

シングルオリジンとは単一産地のこと。産地と言っても国のような広い範囲ではなく、農園単位や精製所単位など、可能な限り細かく特定できる単位で仕入れるコーヒーのことを指します。農園の名前だったり精製所の名前だったりと様々なのは、生産国によって生産体制が違うから。中南米のように農園独自で収穫から精製まで行うところもあれば、アフリカのように小さな農家さんが収穫したチェリーを持ち寄り精製所で一つのロットにしているところもあるからです。

一般的に流通しているコーヒーの多くは、現地の農協などがたくさんの生産者のコーヒーをひとまとめにし、大きな安定したロットとして国の名前+グレードなどで出荷しています。そうなると農家さんにとっては、どうせ頑張っても他のコーヒーと混ぜられて しまうので、頑張る動機を失ってしまいます。そんなコーヒーは買い叩かれてしまったり、年ごとの相場で価格が決まってしまい、農園自体の存続が難しくなる原因にもなります。シングルオリジンとして細かいロットで混ぜずに仕入れることで、生産者は収穫・精製の工程を工夫してフルーティな個性がある特徴豊かなコーヒーとし、その美味しさに応じた価格が支払われます。

私たちが伝えたいのはコーヒーのわくわくする個性。美味しいのはもちろんですが、スペシャルティコーヒーを扱っているというよりも、生産者ごとの個性を届けているという意味では、シングルオリジンを扱っていると言う方がわかりやすいのかもしれません。

 

1900年代は今ほど生産者ごとの個性が豊かなコーヒーは多く流通されておらず、コーヒーの味を焙煎による香ばしさや苦味で補ってバランスを整えるアプローチがメインでした。当時は農協や輸出業者がまとめた、地域の名前で売られる大きなロットのコーヒーが多く、2000年以降になってから、各主要産地で毎年品評会が開催されるなど、生産者ごとの風味が評価され流通する消費文化が醸成されてきました。おかげで新しい方法で美味しくつくる生産者や、そんな生豆を届ける商社も増えました。

生産者ごとに仕入れるからこそ、私たちはその違いが「伝わる」よう焙煎をしています。お店ごとに様々な焙煎のアプローチがあると思いますが、私たちは豆ごとの美味しい個性が際立つように焙煎しています。そしてなおかつ日常に馴染むような、明日も飲みたいと思うバランスになるよう、甘さや酸味を調整して仕上げています。シングルオリジンという素材が、一番伝わるように整えて届けることがロースターの大切な仕事だと考えています。

 

 

ダイレクトトレードとは?

ダイレクトトレードとは、直接生産者から買う取引のことです。よく生産地では、中間業者が地元の生産者からコーヒー豆を買い集めて転売することがあります。地域ごとのたくさんの地元の生産者と繋がり、外のバイヤーや品質を評価しての販売に回す前に、いち早く買い集める業者です。こういった中間業社に収穫後すぐコーヒー豆を卸すことで、生産者としてはいち早く収入を得られるメリットもあり、一概に良い悪いとは言えない存在なのですが、介入する業者が増えるほどコーヒー豆のロットごとの情報は失われていき、品質の管理面でもリスクが増えていきます。

私たちとしては、インドネシア・バリ島、ベトナム・ダラットのコーヒー生産者と一緒にコーヒーを作っていて、そこでのコーヒーは直接輸入しています。

一方、物流という専門的な仕事なので、適切なプロが間に入ることでスムーズに仕入れることができるとも考えています。輸送コストの無駄や手続きの時間といったリスクも減ると肌で感じているので、他の国では信頼できる商社が無駄な中間業者なくクリアに取引したコーヒー豆を仕入れるようにしています。

 

 

フェアトレードとは?

一般的にイメージされるフェアトレードとは、国際フェアトレード認証ラベルのついた商品とその裏側の取り組みのことだと思います。発展途上国で作られた作物や製品を、適正な価格で継続的に取引することによって、生産者の持続的な生活を支える仕組みとしてできた団体ですが、私たちがお届けしているシングルオリジンコーヒーはこの認証がついたコーヒーというわけではありません。世界中で様々な団体が取引の公正化に取り組んでいますが、私たちはコーヒーの価格の「適正さ」は「消費体験の豊かさ」でもあると考えています。美味しいと楽しめるからこそまた来年も仕入れて、生産と消費が続いていきます。労力がかかったから、大変だからという理由だけで仕入れ価格を上げるのではなく、労力をかけた分おいしくなる方法を伝え、その美味しさを多くの消費者に届けることで持続的な仕入れ価格が成り立つと考えています。

 

 

私たちが伝えたいコーヒーの魅力

LIGHT UP COFFEEはそんな生産者ごとのフルーティなコーヒーを、コーヒーが好きな方からまだ慣れ親しんでいない方まで、多くの方にお届けしたいと思っています。コーヒーは違うからこそ面白い。苦味だけではない個性あふれる美味しさを軸に、つくる人、飲む人、どちらの日常も明るくライトアップしてまいります。

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