【卒業生を突撃】「明日も食べたい焼き菓子を目指して」- COERU BAKE STAND代表 金子絢香

こんにちは、LIGHT UP COFFEEの川野です。

LIGHT UP COFFEEに3番目に入ったバリスタの金子絢香さんが、練馬区の大泉学園に焼き菓子&コーヒー専門店"COERU BAKE STAND"をオープンしました。今回はお店の思いやオープンのストーリーを、美味しいお菓子を食べながら聞いてきました。

西武池袋線 大泉学園駅から線路沿いを歩いて2分。温かみ溢れる小さな焼き菓子専門店がオープンしていました。     

旦那さんの夢のお手伝いで始めたバリスタという仕事

川野 オープンおめでとう!金子さんはLIGHT UP COFFEEに入ったのが2016年2月だったね。募集もしてないのにいきなり電話して来たよね!笑  

金子 そうでしたね。実はその時旦那さんとお店をつくるって決めていて、焼き菓子のお店ということが決まっていたので、自分になにか手伝えることないかな?ってコーヒーをやろうと決めたんです。  

 

川野 すごいな。確かに面接の時から店を出すって言ってたよね。なんでLIGHT UP COFFEEだったの?  

金子 職場の仲間の紹介と、雑誌を見ていいなーと思って。年が近い方がやっていたことにも興味があって、電話をかける前に一度行きました。コーヒーが飲めなかった私なのに「美味しい!」と思えてびっくりして、勢いで電話しちゃいました。笑

川野 コーヒーをやる前はワインをやってたんだよね?  

金子 そうなんです。ワインも出すハンバーグ屋で働いていました。実はそこで今の旦那さん、土屋謙次さんと出会ったんです。  

川野 土屋さんはもともと焼き菓子もやられていたんですか?

土屋 僕はもともとはじめにパン職人を4-5年やっていて、そのあと食の見識を広げたいと思ってフレンチの料理人をやり、最終的にその店が移転することになったのでそのタイミングでハンバーグ屋に移りました。  

川野 突っ込みたいんですけど、なんでいきなりハンバーグ屋だったんですか?笑  

土屋 体験入店でハンバーグ屋に入ったら、もうびっくりするくらい忙しくて、忙しい秘密を知りたいなと思って思い切って転職したんです。その会社自体は3業種くらいやっていたんですけど、そこで経営を学ばせてもらってすごい勉強になりました。パンもハンバーグもできたらハンバーガーも作れるかなってのもありました。笑    

プレイヤーとして楽しむということ

川野 その後なんで土屋さんはご自分のお店をオープンしようと思ったんですか?

土屋 この飲食業界のキャリアも16年にもなって、時期かな?という感じを抱いたんです。前の会社で立場が上になってくると、選手として働く以外に仕事が増えてきて、プレイヤーとしてやれることを人生において逆算した時に、今がラストチャンスかなあと思って、オープンすると決めたんです。

川野 なるほどー。やっぱり会社に残り続けていたらプレイヤーとしてあまりできないもんですか?

土屋 そうですね。数店舗見ながら商品開発をやっていました。いかに高いクオリティでみんなが作れるものを作るか、そんなことをやるのはとても面白かったんです。やりがいがありました。 ただ、なんでいったことができないの?ということが何度もあり、そう思ってしまう自分自身に嫌気がさしてきました。その葛藤が嫌だったんです。自分のレシピをやってもらうとなると、伝言ゲームのようにどこかで必ずずれてきます。もうそれだったら自分でやろうと思ったんです。嫌だと思いたくないから、自分でやろうと。  

川野 やっぱり職人なんですね!ものを作っていくってことが面白いと思うからそう感じてしまうんですよね?  

土屋 そうですね。やっぱり作るのが一番好きでした。    

近い距離での積極的な接客が武器

川野 金子さんはLIGHT UP COFFEEで実際働いてどうだった?得たことあった?笑  

金子 めっちゃありましたよ〜。コーヒースタンドのようなお客さんとの距離が近い場所で働くのは初めてだったので、そこで新しく近い距離でのフレンドリーな接客を身につけたという実感はあります。  

川野 入った当時はできなかったっけ?結構頑張ってお客さんと話していた印象あったけど。  

金子 いやあ、最初は話しかけていいのか、自分の知識もなくて不安で話せなかったんですけど、途中からは知識が多少不十分でも、まずしゃべろうと思えるようになっていきました!  

川野 いいね!知識がなかったとしてもまず話していくっていうのは大事だよね。それでだんだんコーヒーのスキルも身につけて来て、もっと自信持って話せるようになってきたんだね。 そう考えるとこのCOERUのカウンター越しの近い距離の空間はすごい強みだよね!    

   

強運と熱意で勝ち取った最高の物件

川野 実際このお店を作っていて大変だったこと、たくさんあると思うんですけど、特に大変なことは何でしたか?  

土屋 僕は物件探しが一番キツかったですね。この物件が見つかったのが探し始めて半年経った時でした。仕事を辞めてから物件が見つかるまでは本当に大変でした。 物件があってもピンとこなくて、いいのがあったと思ったら飲食不可だったりとか。派遣で繋ぎながらなんとかしのいでました。

川野 もともと物件のイメージがあったんですか?  

土屋 路面1Fの10-12坪で考えていて、坪単価もシビアに探していて...。ただそんな理想的な物件見つからないんでだんだんブレてくるんですよ。笑 多少高くてもいいかな〜とか、このまま永久に見つからないんじゃないかとか。不動産屋に行っても、そんな物件ないって冷たくあしらわれるし。 そんな風に迷ってる時にたまたまこの物件が出て来たんです。慌てて2-30枚の資料を不動産屋にもっていきました。油そば屋と争うことになりました。笑  

川野 油そば屋強そうですね〜  

土屋 油そば屋がちょっと考えさせてくださいって迷った瞬間に猛アピールして、なんとか勝ち取りました!これまで貯めてきた運が味方してくれた感はあります。笑  

川野 でもこれからですね、その運の爆発っぷりは!    

明日も食べたいと思える焼き菓子を目指して

川野 このお店でどんな体験を提供したいですか?  

土屋 うちのお菓子って、ギリギリまで砂糖を減らしてるんですよ。コーヒーとのペアリングを意識していて、グラニュー糖の直接的な甘さではなく、バターなどの風味の甘さコーヒーと融合したいと思っていて。実は使っているバターも商品によって違ったりするんですよ。このお菓子にはデンマークのこのバター、この焼き菓子には日本のこの発酵バター、のような感じで。  

土屋 深煎りのコーヒーだとガツンと甘いくらいが調和が取れると思うんですね。LIGHT UP COFFEEのコーヒーはすごい繊細果実のような味がするので、お菓子が甘すぎるとコーヒーが負けちゃうなと思い。 そんなバランスの中で「明日も食べれるお菓子」にしたい と思っています。  

川野 うわー!!これは出ましたね!一番のキーワードですね!! 僕も同じことを考えていて。コーヒーって毎日楽しむ飲み物じゃないですか。浅煎りブームとかで個性に意識がいきすぎるあまり、最初の一口のインパクトは大きくても最後の一口がキツかったり、冷めると酸味が鋭かったりするコーヒーもあって、僕は「最後の一口も美味しくて、明日もまた飲みたいな!と思うコーヒー」が、スペシャルティコーヒーで何であれコーヒーのあるべき姿だと思ってるんですよ。  

土屋 フレンチの時にもシェフにずっとそう言われてましたよ。飲んだ時に美味しいじゃなくて、飲み終わった後に美味しい塩加減ってずっと言われてきました。  

川野 胃に落ちた後の心地よさ、バランスの良さって大事ですよね。  

土屋 何千円もとる高いものだったら、それ相応の衝撃を与えないといけないのでいいと思うんですけど、でも日常的なものだったら「明日も食べたい・飲みたい」と思わせる心地よさは大切ですよね。    

川野 COERU BAKE STANDの焼き菓子は、コーヒーの酸味との相性もいいですよね。  

土屋 そうなんですよね。焼き菓子の味作りで「酸味の頂点」ということを意識していて、、  

川野 えっなんですか!酸味の頂点!?  

土屋 はい、焼き菓子の酸味の頂点と、コーヒーの酸味の頂点が同じ高さだと、どちらも心地よく感じられる調和になると思うんです。例えばこのカトルっていう焼き菓子、上にピンクグレープフルーツを載せているんですけど、グレープフルーツの酸味が加わることで、コーヒーの酸味の頂点と釣り合って、口の中に酸味がぶら下がってくれるというか、どちらの酸味も消えることなくはっきり楽しめるんです。  

川野 なるほど。片方の酸味が強すぎると、もう片方の酸味がわからなくなってしまうってことはありますよね。酸のボリュームの釣り合いはとっても大事だと思います。  

金子 最近は焼き菓子悩んでいる方いたら、これにはこのコーヒーが合いますよ!ってオススメしちゃってます。今朝もスコーンとの相性を試したら、LIGHT UP BLENDのラテがめっちゃ合ったんですよ!もちろん単体で完成度は高めているんですけど、コーヒーが加わってさらに完成するっていうのがCOERU BAKE STANDの焼き菓子の特徴かもしれませんね。  

 

憧れられるお店にしたい

川野 最後に、どんなことをこのお店で発信したいですか?  

土屋 大泉学園っていう場所、ここで暮らして来たから言えるんですけど、なにもないんですよ。笑
ないところでやるからには、文化というと大げさだけど、そういうのを発信したいですね。憧れを与えられるようなお店にしたいと思っています。

前から思ってたんですけど、飲食働きたくない仕事のような過酷なイメージがあるじゃないですか。長時間労働で立ち仕事でキツくて休みもないみたいな。自分自身飲食という仕事がすごい楽しく感じる分、そのイメージを払拭したいという思いがあります。若い人たちが飲食業界に憧れるような、雰囲気、味、接客、労働環境を作っていきたいと思っています。

「衣食住足りて礼節を知る」という言葉のように、自分たちが満足していないことには何も伝わらないと思うんですよ。
難しい顔してつくると難しい味になるのと同じように。
楽しく働いて、憧れられるようなお店にしたいですね。    

店舗情報

COERU BAKE STAND

営業時間:12:00-20:00
休業日:毎週月曜日と第3火曜日
オープン日:2017年7月12日
席数:12席
アクセス:東京都練馬区東大泉5-41-28(西武池袋線 大泉学園駅より徒歩2分)
Instagram:https://www.instagram.com/coerubakestand/

その場で焼き菓子が作られていくライブ感。
焼き菓子とコーヒーの香り、そして笑顔で溢れる、幸せなお店です。    

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