川野の農園訪問記 - コスタリカ カンデリージャ


▲コスタリカ カンデリージャに行ってきた様子を動画にまとめてみました。

 

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こんにちは、LIGHT UP COFFEEの川野優馬です。

この度僕とヘッドバリスタの福留で、コスタリカに行ってきました。

LIGHT UP COFFEE創業時から毎年10年にわたって買いつづけてきた、コスタリカのカンデリージャ(La Candelilla Estate)を訪問してきました。

コスタリカでも有名なコーヒー精製所であるカンデリージャ。その創業者の息子であるリカルドくんが東京で展示会(SCAJ)の際に来日してくれて、商社さんが連れてきてくださり、2年前に初めてお会いしました。そこから、来てくれたら案内すると言ってくれて、僕たちが一番長く取り扱わせてもらっているコーヒーの産地を見たい、作っている人たちと会いたいと思い、今回2024年の1月に渡航してきました。

▲2023年にLIGHT UP COFFEEに来てくれたカンデリージャのリカルドくん(左)とラウルくん(右)

 

朝空港に着くと、そこから産地のエリアまで連れていってくれました。コスタリカ最大の生産地であるタラスまで車で2時間。

そしてそこから3日かけて、彼らの農園、そして精製の様子を見させてもらい、一緒にコーヒーのテイスティングもさせてもらいました。

 

 

カンデリージャとマイクロミル

カンデリージャは、コスタリカで初めての「マイクロミル」です。2000年からはじまりました。

マイクロミルというのは、農園をやりながら自分達でコーヒーチェリーの精製まで行う精製所のことです。

コーヒー豆はもともとコーヒーの木という人間の背丈くらいの木に、年に一度熟すコーヒーチェリーという果実の種の部分を乾燥して脱穀したものです。その、コーヒーチェリーから皮を剥いて種を取り出して、洗ったり乾かしたりする工程のことを精製と呼びます。皮剥きの機械だったり、水洗の設備や乾燥の場所だったりが必要なので、農家さんではなかなか精製まで出来ないので、もともと大きなコーヒーの精製業者や農協などに収穫したコーヒーチェリーを売っていました。

カンデリージャの人々ももともとコーヒー農園だけをやっていて、収穫したチェリーを地元の精製業者に売るだけだったのですが、もっと付加価値をつけて売りたいと結託し、7人のコーヒー農家さんたちが集まって合同で1つの精製所をつくりました。そんな風にして、チェリーを売るだけだった農家さんが、自分達でリスクを取って精製の設備を入れ、農園での栽培から精製まで一貫してやってしまう流れは「マイクロミル革命」と呼ばれたりしていました。革命っていうほどなので、1農家さんがその精製の工夫次第で素晴らしい風味のコーヒーをつくることができて、その分付加価値をつけてコーヒーを売ることができたというのはとても大きいことだったんです。そんなマイクロミル革命の一番最初の精製所がカンデリージャ。今ではコスタリカ国内には150以上のマイクロミルがあるそうです。

そこから7つの家族が今では合計27所有する農園からコーヒーチェリーを収穫してきて、カンデリージャに集め、まとめて精製して素晴らしい風味のスペシャルティコーヒーをつくっています。

 

カンデリージャの農園

そんな彼らがたくさんの農園を運営する中で、特に思い入れがあったり魅力的な農園を3つ訪問させてもらいました。

最初に行ったのがラス・コリナス農園。甘さがしっかり軸にある、カトゥアイ、カトゥーラ、カスティージョという品種や、コーヒー好きな方は聞いたこともあるであろうゲイシャという世界最高の風味を持つと言われる品種、まだ植えてる農園も少ない研究段階のセントロアメリカーノ、ミレニアムといった品種、ケニアのSL品種、エチオピアの品種まで、あらゆる品種が実験も兼ねて育てられている農園で、もうパラダイスのような場所でした。

▲ティピカ品種のコーヒーの木。他の品種は人間の背丈くらいの高さですが、ティピカはこんな風に2~3mほどの高さまで伸びています。

これはゲイシャの木。みんなで30分くらい収穫させてもらいました。チェリーの味はとても甘くて桃のような味がしました。

 

もう1つ行ったのがエレンシア農園。農園を運営するパウロさんが案内してくれました。エレンシア(Herencia)とは現地のスペイン語で遺産(Heritage)という意味。おじいさんから遺産として受け継いだ農園だからそう名づけたそうです。

 

▲Herencia農園からの景色

 


▲農園を管理するパウロさんが案内してくれました

 

そして、カシーケ農園。ここではピッカーと呼ばれるコーヒーチェリーを収穫する人が、ちょうど収穫の最中でした。

コスタリカでは、同じ中米のニカラグアから季節移動労働者としてピッカーさんを呼ぶことが多いらしく、ここでもニカラグアからやってきた人たちがコーヒーチェリーを収穫していました。経済的にはニカラグアよりコスタリカの方が豊かなため、ニカラグアの人たちにとっては出稼ぎに行くメリットがあり、コスタリカの人にとっても人件費を抑えることができるので助かっています。

12.5kgのコーヒーチェリーがちょうど入るボックスがあり、その分で約3USDを人件費として支払うと言っていました。1日1人100kgくらいは収穫してくるそうです。

 

黄色と赤が混ざっているのは、黄色く熟すイエローカトゥーラという品種と、赤く熟すレッドカトゥーラという品種を同じ区画で育てていて、混ぜて1つのロットにしているからです。

 

カンデリージャの農園らしい景色

彼らの農園には、コーヒーの木の間にバナナの木も育てていました。自分達の家族で分けて食べる用だそうです。

コーヒーの木は背が低く深い緑色をしています。一方で間のバナナの木は背が高く薄緑色。遠くから見ると、深緑の中に薄緑が点々としていて、この色合いや景色がカンデリージャらしい景色だなと感じました。農園ごと、地域ごとの景色の違いも印象に残りますね。


Las Colinas農園の上からの景色


Herencia農園からの景色

 

カンデリージャの精製

そして精製所。農園をやりながら、その後の精製までやっているのが彼らの特徴です。

まず最初に収穫したチェリーをトラックで運んできて、貯蔵タンクに入れていきます。その下には精製設備がつながっていて、水で流れながら皮剥き機へとチェリーが運ばれていきます。

▲カンデリージャの精製設備

 

▲流れるコーヒーチェリーたち

 

そして、このコスタリカならではの設備として、「ミューシレージリムーバー」という機械があります。これは、皮剥きしたコーヒーチェリーの中の種の周りについているベタベタの半透明の膜である「ミューシレージ」を水圧で落とす機械です。

僕は今回このミューシレージリムーバーを初めて直接見たのですが、とても効率的で画期的な機械だと感じました。

ミューシレージリムーバー。この筒の中を皮剥きされたコーヒー豆が通り、そこに水圧がかかって外にミューシレージが出てきています。

 

このミューシレージリムーバーはコスタリカ以外では見ることは少なく、一般的には、皮むきしたあとのコーヒーチェリーは発酵タンクに入れて1〜2日寝かせて、発酵によって分解されたミューシレージを木の棒や時には手洗いなどで洗い落としてから乾燥させます。

このミューシレージリムーバーを使うことで、発酵の場所、手間も要らず、水洗のための労力や大量の水も必要なく、皮剥きしたらそのまま乾燥場にコーヒーを直接もっていけるというのがとても効率的かつ安定したつくり方だなと感じました。

一方で、コーヒーって発酵によってフレーバーが発達するものだと思っていたのですが、ミューシレージリムーバーを使ってコーヒーの糖分を物理的にはがし、発酵工程なくすぐに乾燥させている彼らのウォッシュトはりんごや紅茶のような風味がして美味しいのです。コーヒーの精製においての発酵の工程ってどのくらい意味があるんだろうとか、こんな楽な方法でコーヒーが美味しくなるならそれが一番いいなとか、まだまだ色々試してみたい気持ちになりました。

 

乾燥場の景色。大きなスピーカーを置いてノリノリのラテンミュージックをかけて楽しそうに作業していました。毎日16回ずつコーヒーを攪拌させてむらなく乾燥を進めているそうです。

▲乾燥中のコーヒーの攪拌作業。日の向きとコーヒーの山の向きを考えて混ぜる方向を時間ごとに変えているそうです。

▲乾いたコーヒーはドライミルに運んで脱穀、選別の作業に。コーヒーをトラックに入れる作業も手伝わせてもらいました。

 

さいごに

今回彼らの仕事、農園の景色、精製所の様子を見させてもらい、彼らのコーヒーをもっとみんなに伝えたくなりました。彼らはとても熱心で、LIGHT UP COFFEEのためにいろんなコーヒーや特別ロットまで提案してくれました。彼らがおいしいコーヒーをつくってくれるおかげで僕たちはコーヒーを伝えることができているんだなと改めて思いました。

生産者さんたちとのつながり、この出会いを大切に、これからもカンデリージャを引き続き扱い続けて提供し続けていきたいと思っています。

 

 

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