コーヒーの知識 Vol.5 – 品種によるコーヒーの味の違い

2021.02.26
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主に流通するコーヒー豆は、病気に強く低地でも栽培しやすいワイルドな風味を持つ「ロブスタ種」と、高地で育てられ繊細な果実味を持つ「アラビカ種」があります。このアラビカ種の中にも細かな品種があり、その細かな品種の違いもコーヒーの風味を決める大切な要素となります。

 

なぜ品種が生まれるのか

エチオピアを起源とするコーヒーの木は世界各地に伝搬されていき栽培環境の変化に伴い、自然交配や突然変異によって新しい品種が生まれてきました。1930年ごろにはケニアの研究機関で耐病性、耐乾燥性のために新しい品種改良も行われ、1950年代にはアラビカとロブスタ両方の特徴を持つ品種がティモール島で見つかりました。ティモール島で見つかった品種は耐病性の観点でも重宝され、現在の栽培品種のベースになっていくなど、風味だけでなく安定した収穫を実現する点でも重要な要素となっています。

 

 

主な品種

エチオピア原種

もともとエチオピアに育っていた品種グループをエチオピア原種(Heirloom)と呼びます。この原種と呼ばれる品種にも、地域ごとに細かな種類があるとされ、一説によるとエチオピア原種の中には1000以上もの種類があるとも言われています。ジャスミンやレモン、紅茶のような風味が特徴的な、華やかで繊細な品種です。

 

 

ティピカ

エチオピア外での大々的なコーヒー栽培、そしてその伝搬のはじまりとなった品種。1600年代後半〜1700年代前半ごろ、商人の手によってコーヒーの木はインドネシアのジャワ島へと運ばれ、そこからフランスのルイ14世へとプレゼントされました。パリの王立植物園で大切に保管されていたコーヒーの木は、「普通の」、「普遍的な」という意味を持つTypica(ティピカ)と名付けられました。そして、フランスの植民地であった中南米へと広がりました。エチオピア原種に近い、レモンや花のような印象を持つ繊細な品種です。今ではピュアなティピカを育てている生産者は少ないですが、中南米で見かけることのある貴重な品種となっています。

 

 

ブルボン

インド洋に浮かぶフランス領であったブルボン島(現:マルティニーク島)。ここで突然変異種として見つかったのがBourbon (ブルボン)という品種です。果実が丸く、後味までつづく甘味を強く持っていることが特徴で、その美味しさで当時一気に栽培が広がりました。ブラジルへと運ばれた後、今では中南米全体で主に育てられており、中南米の甘くバランスがいい風味のイメージはこのブルボン種によるものです。また、ルワンダでも主にこのブルボンが国全体で栽培されています。この変異種であるカトゥーラもブルボンに近い風味特徴をもっており、このブルボンをベースとした様々な変異種や交配種が現在では育てられてもいます。

 

 

 

 

SL28

1900年代前半、世界のコーヒー生産地では「さび病」や「Coffee Berry Disease」といった病気による打撃が深刻でした。こうした中イギリス領だったケニアに建てられた、Scott Labolatoryでは耐病性や、干ばつが続いていたケニアでの耐乾燥性を持つ品種をつくるため、品種改良の研究が行われました。サンプルには研究所のイニシャルであるSLに番号がつけられ42種類の品種が採取されました。1931年にタンザニアの乾燥地帯から持ち帰った品種の子孫が1935年にSL28として確認され、ケニア中へと広がりました。ルーツはブルボン系の品種だとも言われ、全体的にボリュームのある風味で、トマトやカシスとも例えられる個性的な果実味と甘味、そして収穫量の多さと耐乾燥性を持っているのが特徴です。同様の特徴を持つSL34という品種もケニア中で栽培されています。

 

 

カティモール(ハイブリッド品種)

1950年代にアジアのティモール島で見つかった、ロブスタとアラビカ両方の特徴を持つ突然変異種。優れた風味と耐病性、高い収穫量を持ち、ティモールハイブリッドと呼ばれました。ティモールハイブリッドと、ブルボンがコンパクトに突然変異したカトゥーラ品種を掛け合わせ、生まれたのがカティモール。植物としてタフでありながら、甘さを軸にした果実感を持つことから重宝され、アジア中に広まり栽培されています。

 

 

このように、コーヒーは品種によって木の大きさや葉っぱの色、チェリーの形や育ちやすさなどが異なり、何より風味の個性を持っています。私たちLIGHT UP COFFEEは様々な個性あふれる品種のコーヒーを扱うようにしています。繊細なエチオピア原種とティピカ、甘いブルボン、ジューシーなSL28、甘く力強いカティモールのように、品種に注目してぜひ豆ごとの個性をお楽しみください。