コーヒー屋がお菓子をつくる時に大切にしていること。
こんにちは、川野優馬です。
僕がやってるコーヒー屋 LIGHT UP COFFEEでは、去年の後半からお菓子の販売に力を入れています。
コーヒー屋がなんでお菓子作ってるの?そしてお菓子を作る時に意識していることは?というお話を今日は書いてみようと思います。
なぜコーヒー屋がお菓子を作るのか?
そもそもコーヒーを売るべきコーヒー屋が、なぜお菓子をつくって売り始めているのか?それには僕は2つの目的があります。
1つ目の目的は、コーヒーを広く気軽に伝えるため。
コーヒーって、特に美味しいコーヒーだとなおさら、難しそうなイメージがどうしてもついてしまいます。味の違いがわからいと楽しめない、とか、産地の違いを理解して選ぶのが通というような、、。
でも僕が思うのは、コーヒーってほんとうにカジュアルで簡単な飲み物だってことです。
別に味の違いなんてわからなくたって、「なんか美味しいな」で十分幸せな飲み物なんです!
そんな、コーヒーを好きになる階段の一段目をつくりたくて、コーヒーよりも気軽に楽しみやすいお菓子を、コーヒーを軸につくることにしたんです。
コーヒーが入っているお菓子、コーヒーに合わせるお菓子...、というような感じで、あくまで「コーヒーを伝えること」を軸に、コーヒープリンや、珈琲カヌレ、ガトーショコラをつくっています。
2つ目の目的は、オンラインで届ける体験をもっとたのしく深くしたいからです。
コロナの時代になって、お店で待っている以外の方法でも、体験を届ける必要が出てきました。もちろんもとからオンライン販売は行っていたのですが、2020年の4月を境にオンライン比率が一気に高まり、僕のお店では、オンライン比率が1年で10倍以上にも上がりました。
オンラインだと、声もかけられず表情も見れないため、伝えられる楽しさが限られてしまう、、、。届いたモノだけで体験が決まってしまう、ということで、どうやったらお店に来るような、もっと楽しい体験をおうちにも届けられるだろうか。そんな、オンラインでの飲食体験をもっと広げたいと思って、コーヒーと一緒に楽しみたくなるお菓子も届けて、体験を深くしようと思いました。
コーヒー屋がお菓子をつくる時に大切にしていること
メインの商品はコーヒーであって、コーヒーを伝えていくべきコーヒー屋。
お菓子を作る時には、まずどんなお菓子を作るべきか考えるところからはじめます。
目的は、コーヒーの魅力を広く伝えるためなので、みんなが知っているお菓子や、食べてみたいと思うようなお菓子である必要があると思っています。
コンビニに売っているお菓子、通販で馴染みあるお菓子、カフェでよく見るお菓子、の中から、「コーヒーとの組み合わせ」と、「配送可能性」を見て、作れそうなものをリストアップして、いろんな試作をしてみるところからお菓子作り始まりました。
1日以上かけて、衝撃も加わりながら、遠く離れた場所にお届けするので、美味しいそのままきれいに届けられるお菓子である必要がありました。その点で最初につくったコーヒープリンはだいぶ苦戦して、配送テストも含めて半年くらい試作に時間がかかりました。
そしてもう一つ、お菓子ごとに、体験を通した目的を決めるということを意識するようにしています。
最近つくった、「珈琲カヌレ」では、コーヒーの美味しさが伝わるというコンセプトの中、お店の人気メニューでもある「ラム酒入りカフェラテ」の美味しさをお菓子にしようと決めました。
コーヒーでこんなに幸せな味になるのか...、というところから、家でコーヒーをもっと楽しんでみよう、豆にも興味を持ってもらったり、コーヒーを淹れることにも興味を持つ入り口になればなと思っています。
(家でラム入りカフェオレをつくれるレシピも書きました)
ラム酒入りカフェラテの美味しさを意識しながら、牛乳、卵、ラム酒、砂糖、小麦粉といったシンプルな原材料でベースのレシピを決め、そこからエスプレッソを加えて細かいレシピ調整をし続けました。
コーヒーを食べている、という感覚がより楽しくなるように、エスプレッソの出し殻も加えて、ザクザクした食感になるように焼き具合も何パターンも試作して試しました。コーヒーの華やかさが食べた時に伝わって、コーヒーも飲んでみたいと思ってもらうも目的です。
最終的に、外はザクザク、中はもっちりという理想の食感で、さいっこうに美味しい珈琲カヌレが完成しました...。是非みんなに食べてもらえたら、コーヒーの幸せの味ってこういうことか、、と伝わると思います...。
もう一つ、ペアリングでお菓子を作ることにも挑戦しています。
最近はバレンタインに合わせて、「コーヒーのためのガトーショコラ」という商品をつくりました。
コーヒーに合わせて一番美味しいガトーショコラを目指して、驚くほど軽くて優しーい味のガトーショコラをコンセプトに、コーヒーの濃さ、繊細さ、華やかさを邪魔せず、むしろ調和して引き立たせてくれるような、カカオの香り、酸味と甘さ、重さを調整して試作をしました。
メインで届けたいコーヒーと合わせて最大化する体験が届けられたら、よりコーヒーへの興味やわくわくが伝わると思ってです。
コーヒーのためにつくったお菓子はみんなこのオンラインショップで販売しているので、ぜひ試してみてください...。
そんなお菓子販売のおかげもあって、昨日は珈琲カヌレが、TBSの「別冊!多様のブランチ」にも紹介されたりなど、徐々にコーヒーが伝わる第一歩として、少しずつ存在が広まってきていることを実感しています。
買ってくださる方や、美味しいと楽しんでくださる方には、本当にありがたい限りで感謝が尽きないのですが、最終的にはコーヒーそのものの面白さが伝わって、一人でも多くの方が家でコーヒーを淹れるようになったり、コーヒー屋さんで敷居の高さを感じずに気軽に美味しいコーヒーを楽しむようになっていってくれたら最高に嬉しいなと思っています。
結構前に階段の三段目理論というnoteを書いたのですが、その通り、嗜好品でプロフェッショナルなモノを作っている以上、どうしても視野は階段の上のプロフェッショナルな世界で、受け手にとってはハードルの高い印象になってしまいがちです。
せっかく誰でも楽しめる、たのしいコーヒーだからこそ、できる限り気軽に、でも最高に美味しく、伝え続けることができたらなと思っています。
雑然としたnoteになってしまいましたが、家にいる時間は「美味しさ」で、いかようにも楽しくなり得ると感じるこの頃です。
家で美味しいコーヒーをはじめてみませんか?
川野優馬
https://note.com/yuma_lightup/n/n682d3a1fec39